海の中のひとりごと
2002.4.10  アカメハゼ


 前から「きれいだなあ」と思っていたアカメハゼに3月末に行った阿嘉島で出会うことが出来た。
それほどアカメハゼは珍しい魚ではないと思うが、私にとって、今まで出会う機会はなく、どこに潜りに行っても話も出ない魚だった。
それでいて、写真で見るアカメハゼはきれいで、どうしても撮りたい魚のひとつだった。

 阿嘉島では、港を出てすぐのポイントにアカメハゼはいた。
「慶良間ってすごいな」と今更ながら思った。こんなに港の近くで、透明度が良くいろんな魚が見られる。

 ボートからバックロールでエントリーして潜行すると、すぐにアマミスズメダイの幼魚がいた。成魚はそうでもないけど、幼魚はすばらしく美しい。光るような青さは、目を引くものがある。水中写真を始める前、ハウジングを借りて水中写真にチャレンジしたことがあった。
そのときアマミスズメダイの幼魚がいて、きれいさにうれしくなって撮ったんだけど、プリントしてみたところ、「これは何を撮ろうとしたの?」
と言われてしまった。そんな思い出がある魚だ。今回は何とか撮れたが、もう少し小さい個体のほうが青がきれいだったと思う。しかし、小さいと撮れなかったかもしれないが。

 次にアカメハゼを見つけた。珊瑚の上をふわふわ泳いでいた。カメラを持って少しずつ近寄っていくと、アカメも少しずつ離れていく。
泳いでいるアカメを撮るのは難しいと思ったので、珊瑚にとまるのを待つことにした。しかしなかなかとまらない。5分くらい待っていたら
1匹がとまった。近寄りたかったけど、逃げちゃうだろうなと思い、離れた位置からシャッターを切った。そのあとゆっくり近づいたが、やっぱり泳ぎ始めてしまった。

 また5分待った。ところが寒くなってきた。1本目のダイビングを終えて、体が温まらないうちに2本目に入ったからだ。さらに水温が21℃と、予想していたより低かったのだが、フードをかぶっていなかった。

 またアカメは珊瑚にとまった。さっきより少し近いところからシャッターを切った。近づくとまた泳ぎ始めてしまった。

 そんなことを何回も繰り返した。繰り返しているうち気がついたのだが、アカメは1匹が珊瑚にとまると、ほかのアカメも次々に珊瑚にとまる。
しかし寒さをさらに強く感じてきた。

 何回も繰り返すうちに、アカメの近くに寄れるようになってきた。近づくたび、絞りを少しずつ絞り込みながらシャッターを切った。最後には
等倍まで寄ることが出来た。ピントを合わせるため息を止めた。30秒以上息を止めた。しかしシャッターを切ろうとした瞬間、アカメは泳ぎ始めた。そのままアカメがとまるのを待ったが、10分も待つことになってしまった。最後の1枚のフィルムのシャッターを切ったときには、寒さは限界を超えていた。
「これで楽になれる」

 このダイビングは1時間を越えた。アカメハゼの前に40分いたことになる。
 とにかく寒かったけど、楽しい一本だった。
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