海の中のひとりごと
2004.5.9  フィリピンのダイビングガイド

 フィリピンのダイビングは、立っているだけで、タンク・フィン・ウェイトなど何から何まで
現地スタッフが装着してくれるので、「殿様ダイビング」と呼ばれることがある。
昨年末初めてマクタン(フィリピン)に行って、「殿様ダイビング」を経験できるのかなと
思っていたら、タンクぐらいは背負わせてくれたが、それくらいはどこにいっても
してくれることなので「殿様ダイビング」ではなかった。「一度くらい経験してみてもいいかな」
ということで期待していたわけではないので、がっかりということは全然なかった。

 「殿様」ではないにしても現地スタッフの人数はゲスト数と比べるとかなり多かった。
年末なので空いている時季ではなかったが、それでもファンダイブ4人に対して、ガイド一人と
サポート一人という恵まれた人数配置だった。
 
 その恵まれた人数配置の恩恵を一番受けたのは僕だったのであった。被写体に向かって
カメラを向けるとある程度の時間が必要になる。ガイドがどちらに向かっているか、急いで
いるかなど気にしながら撮影に入るが、気が付くとひとりぼっちということは、今までに
数え切れないくらいある。たいていの場合、進行方向に進めば自分のグループは見つかるの
だが、稀に見つからないことがある。
 
 イルデパンでクマノミの撮影をして周りを見渡したがだれもいなかった。進行方向に進んでも
だれもいなかった。船は進行方向とは逆方向のはずなので、そのまま進んでいくとグループと
会えないばかりか船とも離れていくことになる。流れがなかったのでそこで安全停止をしてから
浮上した。水面で船が確認できたので水面を泳いで船に帰ったのだった。
 こんなダイビングをしていると本当に危険な状況に陥ってしまうかもしれないので、反省は
している。海外のダイビングで外国人のグループに入ると、マクロより群・サメ・大物好きなので
移動スピードが速く注意が必要だ。流れがあるときや地形が複雑なときは、ガイドと
離れないようにしているが、流れがなくやさしいポイントほどひとりぼっちになってしまうことがある。

 マクタンではガイドと離れてもサポートと一緒なので安心して撮影できた。
その時もサポートと二人きりになり、マクロ写真を取りまくった。僕が写真を撮るために被写体を
探していると「これはどう?」「こんなのがいたよ?」とサポートは被写体を見つけてくれた。
「おっ いいねこれ」という被写体ばかりではなく「うーん これは パスしたいな」というものも
かなりあったが、すべてフィルムに収めた。
と言うのも、サポートが実に活き活きと張り切って被写体を探してくれていたからだった。
言葉が通じなくても水中であっても、その人がやる気になっていることはその動きや雰囲気から
すぐわかるものだなとその時思った。
 途中、たまたま日本人ガイドに水中で会い、「ニチリンダテハゼ」がいる場所を教えてもらって
その撮影に入った。ハゼの撮影の場合、時間があれば少しずつ少しずつ寄っていき、最後のほうは
3cm寄っては30秒とどまる。結局この時は100mmマクロレンズの撮影最短距離(31cm)まで
寄ることができた。31cmはフィルム面からなので、ハウジングの先端からは10cmちょっとだろう。
最短まで寄ってシャッターを切る時は、それまでの苦労?が報われるようでとても嬉しい。
(でもときどきそのような時に、頭の上を泳いで通り過ぎるダイバーがいる。写真を撮ったことが
ないのでわからないんだろうけど、ハゼはすっと穴の中に入ってしまう。)

 この時は最短撮影距離でシャッターを3〜4枚ほど切って、安全停止をしてから浮上したら
サポートが喜んでいた。手でニチリンダテハゼの背鰭の形を作り、僕に「うまく撮れたか?」と
聞いてきた。僕がOKサインを出すと、満面笑顔で喜んでくれた。

 マクタン(フィリピン)の旅行は、空港の職員にまでチップを要求されたりして、あまりいい印象は
残らなかったし、もう一度マクタンにダイビングに行くことはおそらくないと思うのだが、現地の
ダイビングガイドやサポートやホテルの従業員についてはいい印象が残った。
教育されているのだろうが、重い荷物を運んでくれるよう頼んでも快く引き受けてくれたし、
サービスをしてもチップが欲しそうなそぶりも見せなかった。
 彼らが恵まれているのは、マクタンではなかなか手に入らないだろう安定した仕事があること、
そのためにお金が入ることはもちろん、仕事をしてお客さんに喜んでもらえることなのだろう。
 
海の楽園・ダイビング