マクタン
2003年12月末、フィリピンのマクタン島へ行った。
マクタン島はセブ島のすぐ隣にあり、2つの島は橋でつながっている。
セブ島はリゾート地として有名だが、セブと言われているツアーは
実際はマクタン島であることが多く、空港もマクタンにある。

成田からセブまでの直行便を降り、空港の外に出ると、南の島の
あのむっとする熱気に包まれた。日本の寒さから逃れ、Tシャツと短パンで
過ごせる暑さを手に入れられるだけでも、冬の南の島への旅行は
価値があると言える。北半球にあるフィリピンはこの時季、暑すぎるという
ことはないのがさらにいい。

パシフィック セブ リゾートまでバスに乗り、街中を走った。マクタン島は
セブ島と比べるととても小さい島で、リゾート地なので人口は密集している。
現代風の繁華街を抜けると、戦後の日本のバラックのような小さな家が
あり、現代と過去、富と貧が小さい島の中に混在していた。

夜なのに、大人たち子どもたちが道端にたむろっていて、バスから町の風景を
見ている日本人と目が会うと微笑みかけてくる。そう言えば、フィリピンは
「微笑みの国」というコピーを聞いたことがあったな。
しかし、その微笑は素朴ではなかった。

小さな家が続く街並みを抜けると、突然パシフィック セブ リゾートに到着した。
リゾートはとても広く、椰子の木やハイビスカス、南の島の花や木に囲まれ、
2〜3階建てのコンドミニアム風の建物やコテージが並んでいた。

リゾートの内と外は「別世界」で、その「別世界」を守るために
制服を着た警備員が拳銃を腰から下げ、10人ほど配置されていた。


翌日から3日間ダイビングの予定だったが、3日目は海況が悪くボートを
出せないとのことで、ビーチダイビングはできたのだが、キャンセルし
のんびり一日過ごした。

ダイビングサービスはリゾート内にあり、リゾートからボートが出てダイビングに
行くのだが、リゾート前は大きな干潟になっていて、そのために長ーい桟橋を
歩いてボートのところまで行く。
干潟は潮が引いているときは、リゾートで働く地元の人たちが大勢出て
「潮干狩り」をしていた。きれいなカニが歩き回り、泥の上をハゼが跳びはね
ていたので、カメラのシャッターを切ったが、100mmマクロレンズ対象の
被写体ではなかった。

マクタン島周辺のダイビングポイントは、ボートで10分〜15分で到着する。
海は穏やかで流れもほとんどなかったが、透明度は10〜15m程度だった。
日本にはいない、たぶんミクロネシアにもいないハナダイやイソハゼの仲間など
「ここに来たから見られるもの」があったことは良かった。
またダイバーに対してガイドの人数が多かったので、ガイドとのマンツーマンダイブ
が可能で、じっくり写真を撮りたい、ときには30分間一つの被写体を撮りたい僕に
とっては、ストレスなく楽しむことができた。

マクタン島以外のポイントは追加料金が必要で、2日目はヒルトゥガン・ナルスワン
というポイントに行った。ここもリゾートから15分くらいで、「こんなに近いのに、
なんで追加料金が必要なの?」と思ったが、まあ仕方がない。
透明度はマクタン島周辺よりは少しいいかなと思ったが、それほど変わらない。
ツバメウオなどの群が見られるらしいが、僕が潜った時にはいなかった。もしかしたら
小物を撮影している時に、近くを通り過ぎたのかもしれないが。

潜っているとときどき「ドーン」という大きな音がする。ダイナマイト漁は違法なのだが、
ここではまだ行われているのだ。ガイドの話では、音はするけどそれほど近くで
やっているわけではないと言っていたが、気持ちのいいものではなかった。

大好きなナイトダイビングもした。ガイドとマンツーマンだったので、好き放題に
1時間以上撮影した。撮影に夢中になっていると、ときどきガンガゼに刺されそうに
なったが、とにかくナイトダイビングは楽しい。昼間はどこにいたんだと思わせる大きな
カニが動きまわっているし、きれいなエビがあちこちに現れている。魚は
寝ぼけているので近くに寄れるのだが、ライトをずっと当てていると目が覚めてくるようで
動き出し逃げてしまう。目が覚める前に撮ってしまうことがコツかもしれない。

帰りはマクタン空港からマニラ経由で成田に帰った。
マニラの空港で僕が出国カードを書いていたら、制服を着た係員みたいな人が来て、
「手伝う」というようなことを言ってパスポートを取り上げてカードに書き始めた。
僕はあわててパスポートを取り返し、自分で書きはじめたのだが、半分以上書き終えた
ときにその男はまたやってきて「援助します」と言って、またカードに書きはじめた。
書き終わって僕にカードを渡すとにやっと
笑って「チップー」と言った。僕が「ノー」と言うと「だめー」と情けない声を
出していた。空港職員もこんなもんなんだ。一つ学習した。

その後出国審査を済ませて中に入ってトイレへ行ったら、用を足してト
イレから出る時、手拭き用のペーパーを差し出した現地のやつがいて、完全にチップ
ねらいだったので、受け取らず急いで出てきた。
フィリピンはこういう国だったんだと印象を持ったが、無事に帰ってくればこの
ようなことも一つの経験としては、今後に役立つのかもしれない。
「制服を着ていても、空港職員でも信用するとあぶない」

このようなフィリピン人だけが悪いのでなく、この国に対して日本や日本人が
してきたこと、今していることはどうなんだろうなどと考えた。
また努力して貧困から抜け出す機会があれば、この国の人たちも
変わっていくのだろうが、そうはいかないのが現実だろう。

ワイロが当たり前になっている社会は、将来も暗い。

こんな感じだったので、日本に帰ってきてからいろいろ考えてしまった。
日本も最近は物騒なこともあるけど、やっぱり平和であり、基本的には
人を信じることができる。その感覚で海外へ行くと、失敗をすることになる。
僕は沖縄にはダイビングバッグ(ソフトケース)で行くが、海外にはスーツケース(ハード)
で行くことにしている。ソフトケースが切られたり、壊されたりして運ばれてきたのを
何度も目にしてきたからだ。
ホテルでは貴重品を預けない。ホテルの従業員が危ない。

マクタンのリゾートで、日本人女の子2人の会話が聞こえてきた。
「ここにはレンタサイクルってないのね」
「そうね」(レンタサイクルがあったら借りるのに)

リゾートを出ると、素朴とはいえない子どもたちが笑いかけてくる。
怪しい大人たちも笑いかけてくる。
とにかくみんな笑いかけてくる。
その中に、女の子が2人自転車で出て行ったらどうなるんだろう。
この話を旅行好きのテニス仲間に話したら一言
「サファリパーク状態」
と言っていた。

キャンディ ケインド
 ワーフ ゴビー
キャンディ ケインド
 ワーフ ゴビー
キャンディ ケインド
 ワーフ ゴビー
ハマクマノミ
ヒラムシの仲間
パシフィックセブ
リゾートの花
パシフィックセブ
リゾートの花
パシフィックセブリゾート
前の干潟
ナデシコカクレエビ
ナデシコカクレエビ
ホヤの仲間
イソハゼの仲間
カクレクマノミ
海の楽園アネックス
海の楽園・ダイビング